日本全国を巡って集める 船の御朱印 「御船印」

御船印めぐりガイド

連載記事

【御船印をめぐる旅】
船旅の印象を一新するデザインの力

船会社:瀬戸内海汽船

公開日 2024年03月21日
更新日 2024年03月21日

御朱印になぞらえた御船印は、御朱印帳と同じように、御船印めぐりプロジェクトの公式船印帳などを持って、各船会社を巡って集めます。多くの船会社は紙にデザインを印刷した“プリント版”を発売しているので、御船印を購入後に印帳に貼り付ける方も多いでしょう。

広島・呉・松山の定期航路を楽しめる「シーパセオ」

瀬戸内海汽船は、船体や船をイメージした色の波模様など、数種類のスタンプを印帳に直々に押して、1つの御船印が完成する“スタンプ版”。利用者の間では、「デザインがカッコいい」といった声が多く飛び交っており、デザインの元となるクルーズフェリー「シーパセオ(SEA PASEO)」にも注目が集まっています。
※スタンプ版は船内でのみ販売

同社の船は、シーパセオ1・2のほか、高速船の「スーパージェット道後」と「スーパージェット宮島」があり、広島港~呉港~松山港の定期航路を運航しています。シーパセオが就航したのは2020年8月で、「瀬戸内海の移動を楽しむ、みんなの公園」というコンセプトのもとにデザイン設計されました。

船内は落ち着いたダークブルーを基調として、黄色がアクセントカラー。注目のスポットは、人工芝が敷かれた屋上デッキ。瀬戸内の多島景観を眺め、潮風にあたりながらゴロンと横になって寛げるようになっています。まるで、公園でピクニックをするように、お弁当と水筒を持って乗船したくなります。

船内で御船印を購入、スタンプを押してもらう
船内のGORONE(ごろね)エリア

同社によれば、シーパセオの設計には、2014年に新造船造りに取り掛かってから実に綿密な造船調査を実施したそうです。例えば、他多数の船会社の船を視察したり、客席における不快指数をシミュレーションで割り出したり。また、全社員でワークショップを実施して、コンセプトを考え、そこで根底に決まったのが、船を「瀬戸内海国立公園の中の公園」に位置付けることでした。「思わずデッキに出たくなる船にしたかった」、また、「インバウンドに向けた視点でもある」という意図が込められています。

船のデザインは、船の特性に合わせて、船首部は静かに眺望を楽しみながら滞在できる客席の「キャビン」、中央部は会話や食事を気兼ねなく楽しめる「ラウンジ」、船尾部と屋上デッキは潮風を感じながら賑やかに過ごせる「ヒロバ&オクジョウ」の3つにゾーイングされています。ラウンジの小あがり席にはちゃぶ台があり、そこで子供が宿題をしている時もあるそうです。

ごろ寝に特化したカーペットやプライベート空間を確保できるソファ席などもあり、乗客は思い思いの席を選べます。もちろん、バリアフリーにも対応。

シーパセオは、2019年度の「グッドデザイン賞ベスト100」を受賞しました。船業界が不況の中、同社も30年間で乗船者数が7割ほどに減少しているそうですが、シーパセオが就航して以来は、県外からの乗船者も増えているとか。御船印のデザインを決める際にも、「シーパセオらしさを出したい」という思いがあり、船のデザイン会社に制作を依頼しました。

屋上デッキに吹き抜ける「そよ風のパティオ」
まるでカフェのようにおしゃれな船内
船内のKOAFGARI(こあがり)エリア

グループ会社にあたる瀬戸内シーラインの観光型高速クルーザー「シースピカ」(広島港と三原港間の瀬戸内しまたびラインを運航)もまた、「グッドデザイン賞」と「シップオブザイヤー2020」の小型客船部門賞を受賞し、シーパセオを合わせて船旅のイメージを一新させる双璧となりました。令和5年の広島サミットでは、各国首脳時が乗船したことでも一躍有名になりました。もちろん、シースピカの御船印もあり、センスが光ります。

おしゃれなカフェに行くように、「ちょっと海上の公園に行ってくる」と船に乗る時代も、すぐそこまで来ているのかもしれません。

※写真/小林希
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